動画配信サイト「ニコニコ生放送」の党首討論会に臨む各党の代表=24日午後、東京都中央区(代表撮影)
動画配信サイト「ニコニコ生放送」の党首討論会に臨む各党の代表=24日午後、東京都中央区(代表撮影)

 1980年代、消費大国アメリカではペプシコーラとコカ・コーラが熾烈(しれつ)な販売競争をしていた。やや劣勢だったペプシコーラは起死回生の全国イベントに打って出る。小さな紙コップに両方のコーラを注ぎ、消費者参加の飲み比べテストを実施した。

 結果はペプシコーラの圧勝だった。危機感を抱いたコカ・コーラは同様のテストにマーケティング調査を加えて味を変え、新商品を売り出した。ところが消費者には受け入れられず、わずか3カ月で元の味に戻してしまう。

 後日分かったのは、小さな紙コップで飲むと少し甘い方がおいしく感じるという事実。ペプシコーラの方がやや甘い味で、普段から大きなコップでごくごく飲みたいコカ・コーラファンには合わなかった。これが「一口コーラ」の失敗談。

 小さい器は判断を鈍らせることがある。選挙もそうだ。一つの政策を強調するワンイシューの公約は甘く感じるだけに怖い。きょう公示を迎える衆院選は多くの政策課題の中で「消費税率」引き下げに議論が集まるが、財源や具体的な道筋を描かない選挙目当ての使い捨てが交じってはいないか。

 コーラの味を競った両社はその後、健康志向を取り入れるなど改良を重ね時代の波を乗り越えた。日本の未来を左右する今回の衆院選も、その場しのぎではなく何十年も通用する政策がどう議論されるのか、大きなコップに注ぐ気持ちで注目してみたい。(裕)