中央の天井からぶらさがった2本の赤いリボンを体に巻き付けて、宙を舞う男女。命綱はなし。お互いに離れたり、見つめ合ったり。恋の駆け引きを見ているようで、紡がれる物語に一気に引き込まれた。
男性が女性の手を取り、腕の力だけで持ち上げると、リボンは天井高く上がっていく。女性は男性に体を預け、お互いを見つめ合いながらつり下がったり、回転したりする。時に、片腕だけで女性を支える場面も。ハラハラしつつも、手の指先からつま先までしなやかに伸ばし、凜(りん)とした女性の美しさに見とれてしまった。
演じるのはベトナム出身の夫婦で、夫のタンさん(33)と妻のホンさん(30)。演技でつないでいた手には、お互いへの信頼感がにじみ出ていた。ホンさんは「いつも一緒にパフォーマンスできるのが楽しい」とはにかむ。
(文・井上雅子、写真・森山郷雄)
公演は7月17日から9月18日まで(毎週木曜と7月19日、8月30日、9月6日は休演)、松江市学園南1丁目の旧島根県立プール跡地広場で。前売り入場券は大人3千円、子ども(3歳~高校生)2千円。当日は各500円増し。問い合わせはポップサーカス松江公演事務局、電話0852(67)7960。