芸術と科学を融合し「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と称される、オランダ出身の造形作家テオ・ヤンセンさんの作品展(山陰中央新報社など主催)が7日、松江市袖師町の島根県立美術館で始まった。プラスチックチューブ製で、風力で生物が歩くように動く造形作品「ストランドビースト(砂浜の生命体)」14点を展示する。中国地方では初開催で8月28日まで。
ヤンセンさんは大学で物理学を専攻し、母国の海面上昇問題を解決するため、海岸に自生して砂を積み上げる防波堤を造って海岸を守りたいという思いで、1990年に「ストランドビースト」の制作を始めた。
プラスチックのチューブやペットボトル、結束バンドなどの身近な素材を使って、物理工学を基盤として形づくられた800~千個のパーツを組み合わせる。既存のモデルはなく、ヤンセンさん自身のイメージを元に創作する。
作品の一部は風を受けて実際に動く。横12メートルで横長の「アニマリス・オムニア・セグンダ」(2018年制作)は、空気を送ると、細かなパーツが機能し、意思を持っているかのように動き始め、横向きにゆっくり一歩ずつ移動。日本初公開作品や、ヤンセンさんのアトリエを紹介するコーナーもある。
国内外の「テオ・ヤンセン展」を手がける宮島弘治プロデューサーは「新しいタイプのアートを通して、環境問題や自然との共生について興味を持ってほしい」と呼びかけた。
8日午後2時から雑誌・大人の科学マガジン(Gakken)の編集長による記念講演会がある。11、18日は休館。当日券一般1600円、大学生1350円、小中高校生700円。
(井上雅子)