幕末から明治初めにかけて活躍した山本琹谷(1811~73年)を中心に、島根県津和野出身の絵師たちの作品を紹介する企画展「没後150年 山本琹谷と津和野藩の絵師たち」(山陰中央新報社など主催)が8日から、益田市有明町の島根県立石見美術館で開かれる。開幕前日の7日、内覧会があり、約40人が人物や花鳥を描いた掛け軸に見入った。
琹谷は津和野藩の家老多胡逸斎(いっさい)に絵を学び、20歳ごろ江戸に出て文人画家渡辺崋山に師事。1853年ごろ津和野藩主亀井茲監(これみ)に藩の絵師を命じられ、江戸を拠点にしながら藩お抱え絵師として活動した。
企画展は前期(31日まで)と後期(8月2~28日)で、入れ替え作品を含め計120点を並べ、うち約70点が、地元のほか、栃木県、愛知県などから集めた琹谷の作品。中国の故事を描いた板戸絵、同じ津和野藩絵師だった斎川芳〓(田ヘンに腕のツクリ)(ほうえん)のために描いた掛け軸「秋山草堂図」(1847年、個人蔵)などが目を引く。
角野広海学芸員は「人物画や花鳥図、山水図とさまざまな作品を描いた。最晩年は西洋風の陰影を取り入れている。作風の変化も楽しんでほしい」と話した。
午前9時半~午後6時(入館は午後5時半まで)。一般千円、大学生600円、小中学生、高校生300円。8月15日を除き火曜休館。
(中山竜一)