ゲストハウス「コイサイド」の大広間。月一回、コイ料理を振る舞う居酒屋となる=邑南町下口羽
ゲストハウス「コイサイド」の大広間。月一回、コイ料理を振る舞う居酒屋となる=邑南町下口羽

 邑南町口羽の養鯉(ようり)業、河野光也さん(56)=同町下口羽=が、空き家を改修してゲストハウス「コイサイド」を開いた。宿泊機能のほか、月1回はコイ料理を振る舞う居酒屋となる一風変わった施設。かつて地区で盛んだったコイの食文化を伝えるとともに、地域の交流拠点にしたいと思い描く。 (糸賀淳也)

 地区で唯一の養鯉場を管理しており、コイ食文化を伝える憩いの場をつくろうと思い立った。

 養鯉場隣接地で知人が持つ木造2階建て(延べ床面積160平方メートル)を借りて改修。1階に20畳の大広間、2階に洋室(8畳半)と和室(6畳)を整え、それぞれに木の温かみが感じられるテーブルや椅子を置いた。

 周辺には旧JR三江線の鉄道資産を活用した観光資源があり、訪れた観光客が泊まれるように、洋室と和室を提供。ともに3人まで宿泊でき、1人1泊3500円からとした。

 居酒屋は大広間を使い、毎月最終土曜日夜にオープン。メニュー数は時季によって変わるが、コイの刺し身(500円)、みそ汁の「こいこく」(200円)などを振る舞う。12席あり、初回の5月29日は満席だったという。

 江の川の支流、出羽川流域にある口羽地区は、明治初期からコイ食文化が盛んで、口羽、阿須那両地区に養殖場が次々とでき、県内だけでなく、県外にもコイを出荷していた。

 しかし、2003年にコイヘルペスが全国的に流行すると需要が激減。地区から業者が姿を消していった経緯がある。

 河野さんは地域の子どもたちを対象に、コイ食文化の歴史を紹介する催しの企画などを構想。ゲストハウスを魅力発信の拠点にする考えで「地域の新しい可能性を見いだせる場にしたい」と目を輝かせた。

 問い合わせは河野さん、電話090(4147)5175。