いつかは夢の舞台で-。ポップサーカスでは、働きながら、プロの講師の指導を受け、パフォーマーを目指す「サーカス・アーティスト制度」を設けている。現在は5人の訓練生がステージを目指し、日々奮闘している。
訓練生は、藤田真子さん(22)、室井成輝さん(19)、増野さんごさん(19)、星野智春さん(25)、大原葵さん(22)。
朝は早い。午前6時過ぎに公園に集まり、ランニングや柔軟運動、筋力トレーニングに汗を流す。8時に朝礼が始まり、松江公演の裏方業務に従事。照明や音響、誘導などの仕事を担当し、藤田さんは「観客を含めた全体に気を配ることが大変」と話すが、表情には充実感も漂う。
練習は、公演が終わった夕方から。増野さんは、空中で美しく舞う「エアリアル」を習得するため、空中につるされた布につかまり、体を器用に回転させていた。「力が必要だけど、優美に舞うには、力を感じさせてはいけないんですよね」。まだまだ目指す姿は先にあるようだ。
指導するのは、中国雑技団出身の張永強(チョーヨウチアン)さん(60)。「世界最高峰のサーカスでも活躍できる人材を育てる」と話し、見据えるのはポップサーカスの舞台にとどまらない。練習は厳しいが、室井さんは「技を磨いて早く舞台に立ちたい」と意気込む。
体操経験者だけでなく役者、チアリーダーなど経歴はさまざま。最初は懸垂すらできなかったメンバーもいる。支えは、誰にも負けぬサーカスが好きという気持ち。ステージで舞う姿を思い描き、今日も訓練生の長い一日が始まる。
(林李奈)
=おわり=