隣県の広島、岡山で緊急事態宣言が続いている影響が、山陰両県の観光施設にじわり広がっている。宣言の対象地域に追加された5月16日以降、団体客のキャンセルが続出。宣言の期限が今月20日まで延長され、休館する施設が出るなど状況は厳しさを増している。
広島県からの来館者が多く、多い年で6割を占める水族館アクアス(浜田、江津市)。緊急事態宣言の発令を受け、修学旅行や遠足で5月16日から月末まで入っていた9校の予約が全てキャンセルになった。
5月の月間来館者数は一昨年同月比でほぼ半減の2万4673人に落ち込んだ。砂田忠館長(81)は、月末までだった期限が延長された上に「解除後すぐに客足が戻るとは考えづらい」と先行きを憂う。
温泉リゾート施設「風の国」(江津市桜江町長谷)も同様の状況で、グランピングを体験できる球体テント(3基)の稼働率は好調だった大型連休中を含む5月前半が64・3%だったのに対し、後半は37・5%まで低下。カバーするため、6月から山陰両県民向けのお得なプランを売り出した。
団体(8人以上)の予約キャンセルが相次いだ安来節演芸館(安来市古川町)は、6月を臨時休館にしている。広島、岡山が対象地域となって以降、6月分を含め約40件の取りやめがあったという。
県外客では岡山県が最も多いとっとり花回廊(鳥取県南部町鶴田)は、駐車場のナンバー調査で広島を含む山陽側からの来場が目に見えて減っている。国谷孝行営業販売部長(45)は「宣言の期限延長は予想した通りで、しばらくは自粛が続くだろう」と見通した。(村上栄太郎、岩垣梨花)