芸術作品を前にして、深い感銘を覚えるのはそれが唯一無二の本物だから―。そう思う人は多い。作品の真贋(しんがん)は美術界での大きな関心事だ。だがデジタル化が進み、鑑賞スタイルも多様になった今、本物とそうでない物との境界が揺れ動いている。「複製」や「フェイク」は全て切り捨てるべき存在なのか。

 波打つ金髪、バラを背にした耽美(たんび)的な表情。描き込ま...