【江府】施設内に大量に作られたツバメの巣を保護する道の駅奥大山(鳥取県江府町佐川)が6日、日本野鳥の会(東京都)から感謝状を贈られた。ツバメを保護する団体をたたえる同会の活動の一環。手製のふんよけやポスターを設置し、ツバメを温かく迎え入れている点が評価され、道の駅大山恵みの里(鳥取県大山町名和)とともに山陰両県で初めて贈られた。
日本野鳥の会によると、日本列島へのツバメの飛来数は年々減少。原因の一つに住宅の洋風化によって軒下など、営巣可能な場所が減っていることが挙げられている。
道の駅奥大山では2015年の開業当初から、毎年4~7月にツバメが軒下や通路の屋根などに巣を作る。当初は衛生面から巣作りをしないよう、テグスを張るなどしていたが、利用客から「ツバメは商売繁盛の証し」との指摘を受け、見守りへと方針を変えた。
小まめに掃除をするほか、頭上から落ちるふんに注意するようポスターで来訪者に呼び掛けた。さらに巣からの落下物をカバーできるよう、天井から段ボール製の「ふんよけ」をつり下げた。つり下げる糸をうまく張ることで、幼鳥を狙うカラスが近寄りづらくなった。見守り対策が奏功し、今年は施設内の巣の数が約50個にも及んだ。
6日は日本野鳥の会鳥取県支部の津森宏理事(61)が、同駅で古海修祐駅長(30)に感謝状を手渡した。式の間にも無数のツバメがさえずりながら周囲を飛び交っていた。古海駅長は「お客さんが写真を撮ったり笑顔でツバメを見たりと温かく見守ってくれる。掃除は大変だが今後も続けたい」と話した。
道の駅大山恵みの里も施設内の巣を撤去することなく、来訪者には注意を呼び掛けている。全国では21年度、9都道府県の16団体に感謝状が贈られている。
(岩垣梨花)