若者を中心に人気を集める安来市出身のラッパーSKRYU(スクリュー)さん(27)は、山陰合同銀行(松江市)の行員からラッパーへと転じた異色の経歴を持つ。今年リリースした楽曲「How Many Boogie(ハウメニーブギー)」が交流サイト(SNS)で話題になり、ミュージックビデオ(MV)は700万回再生を超えた。ユーモアのあるワードセンスと音楽性で勝負するSKRYUさんの魅力を探った。

【インタビュー】ラッパー・SKRYU「めちゃくちゃ最高の景色」 地元を飛び出し4年 異彩放つアーティストが語る現在地と未来

ラッパーとしての歩みを振り返るSKRYUさん=松江市内

 本名植田敬助さん。松江工業高校に通っていた頃、友人の勧めで高校生ラップ選手権を目にした。「ラップなんて不良がやるものだろう」という先入観があったが、ステージで韻を踏む同世代の姿を目にし、興味を持った。

 

 高校卒業後、愛媛大に進学。大学2年の9月、バイト帰りに松山市内の商店街・大街道でスピーカーを囲む集団を見つけた。何しているかは分かった。フリースタイルラップ(即興ラップ)だ。

 当時はスキニージーンズをはき、めがねをかけたごく普通の大学生だった。「一緒にラップしたいけど怖いな」と様子をうかがっていると、全身迷彩柄でオーバーサイズの服を身にまとったラッパーが「来いよ。入れや」と声をかけてくれた。そこから仲間に加わり、フリースタイルラップを始めた。

SKRYUさんのパフォーマンスに沸く観客=松江市寺町、松江B1(以下、ライブの写真は矢田光さん撮影)

 大学4年の時、MCバトルの全国規模の大会に出場したが、1回戦で敗退。帰郷して山陰合同銀行に就職した。入行して間もなく、全国最大級のMCバトル「戦極MCBATTLE(エムシー・バトル)」の本戦につながる大会で優勝し、手応えを得た。仕事を続けながら週末は東京などに出向いて活動。ラップに力を入れようと銀行は1年で退職して上京した。

ワンマンライブで観客を沸かすSKRYUさん=松江市寺町、松江B1(矢田光さん撮影)

 ステージでにやけ顔 唯一無二の存在感

 知名度を広げるきっかけになったのは、全国規模のMCバトルでの活躍だ。都道府県の代表が覇を競う「UMB(Ultimate MC Battle:アルティメット・エムシー・バトル)」2020年大会でベスト4に入り、21年の戦極MCBATTLE第23章では、テレビでも活躍するラッパー・呂布カルマさんを決勝で破り、初めて栄冠を手にした。

 MCバトルは互いにラップで批判し合うスタイルが多い中、SKRYUさんは...