「若い人とゼミをやりたい」。加藤秀俊先生からお電話を頂いたのは、2021年夏。最新刊「九十歳のラブレター」が反響を呼んでいた頃だ。

 65年の歳月を共にした亡き妻へのこの「鎮魂歌」で、喪の時間に区切りがついたのかもしれない。「これからの世代に、学問の手ほどきをしたい」...