伊勢神宮に参詣する人々の様子が描かれた伊勢両宮曼荼羅図=出雲市大社町杵築東、島根県立古代出雲歴史博物館
伊勢神宮に参詣する人々の様子が描かれた伊勢両宮曼荼羅図=出雲市大社町杵築東、島根県立古代出雲歴史博物館

 「神々の聖地」とされてきた伊勢神宮(三重県)と出雲大社の成り立ちに焦点を当て、それぞれの歴史や周辺で育まれた参詣文化などを比較した企画展「伊勢と出雲」が13日、島根県立古代出雲歴史博物館(出雲市大社町杵築東)で開幕した。信仰を集める両社をめぐる発展の様子を一覧できる機会となっている。12月10日まで。

 古代から明治期にかけての94点を展示。伊勢国・松阪(現・三重県松阪市)出身の国学者・本居宣長が塾生の出雲国造家・千家俊信に送った自筆の長歌を初公開したほか、6~9世紀の伊勢神島祭祀(さいし)遺物(国指定重要文化財)の神獣鏡などが目を引く。

 三重県指定文化財の「伊勢両宮曼荼羅図」は、室町時代から安土桃山時代にかけて描かれた縦165・4センチ、横178・7センチの絵図で、伊勢神宮の参詣のルートや名所とともに、参詣客でにぎわう様子が描かれており、興味深い。

 京都府木津川市から観光で訪れた会社員山本菖子さん(30)は「伊勢と出雲の昔の参詣が対比できて面白かった」と話した。

 歴博の松尾充晶専門学芸員(50)は「伊勢を知ることで、出雲の魅力をあらためて感じることができる」と見どころを話した。

 観覧料は一般700円、大学生400円、小中高生200円。17日と11月7日、14日、12月5日は休館。(黒沢悠太)