アルバム「タップ・ステップ」
アルバム「タップ・ステップ」
リターン・トゥ・フォーエバーのアルバム「ライト・アズ・ア・フェザー」
リターン・トゥ・フォーエバーのアルバム「ライト・アズ・ア・フェザー」
アルバム「タップ・ステップ」
リターン・トゥ・フォーエバーのアルバム「ライト・アズ・ア・フェザー」

 ジャズピアノ奏者チック・コリアはスペイン音楽に傾倒し、曲に取り入れた。代表曲「スペイン」しかり。フラメンコギター奏者パコ・デ・ルシアにささげた「イエロー・ニンバス」「フラメンコ」しかり。「僕の心の故郷はスペインだ」と語っていたという。

 「スペイン」はチックが率いるフュージョンバンド、リターン・トゥ・フォーエバーの1973年のアルバム「ライト・アズ・ア・フェザー」に収録。アランフェス協奏曲の哀愁漂うメロディーでゆったりと始まり、フラメンコ風の速いリズムになる。エレクトリックピアノのコロコロした演奏が美しい。

 「イエロー・ニンバス」は81年のライブ・アンダー・ザ・スカイでパコと共演し、互いにあおるように激しさを増す演奏がすごい。これに匹敵するチックの熱演は「浪漫の騎士」(リターン・トゥ・フォーエバーの1976年の同名アルバムに収録)くらいだろう。

 電化ジャズ路線を進み、ボサノバやロックを取り入れたかと思えば、アコースティック・バンドを結成したり、クラシックに挑んだりと多才だった。ただ、本領が発揮されるのはスペイン路線。晩年の2019年にスペイン路線のアルバムを残したのは感慨深い。やはり「心の故郷」なのだ。(志)

 Sデジにロングバージョンを掲載
 → https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/468268