「カリフォルニケイション」
「カリフォルニケイション」
「カリフォルニケイション」のジャケットの裏
「カリフォルニケイション」のジャケットの裏
「カリフォルニケイション」
「カリフォルニケイション」のジャケットの裏

 90年代に変貌を遂げたバンドとして思い浮かぶのはレッド・ホット・チリ・ペッパーズ。89年の4作目「マザーズ・ミルク」までは、ロックとラップを交ぜた今でいうミクスチャーの走りのよう。ビートルズのパロディーで横断歩道をほぼ全裸で渡る、ふざけたジャケットのCDもあった。当時は「奇抜」という評価が多かったように思う。

 91年の5作目「ブラッド・シュガー・セックス・マジック」でぜい肉をそぎ落としたソリッドな音に変わった。何よりボーカルのアンソニー・キーディスが歌で魅せるようになった。

 「アンダー・ザ・ブリッジ」は薬物で他界した友人にささげた曲。ギターのアルペジオに乗せて「橋の下で俺は血を抜いた(薬物を打った)」「人生を投げ捨てた」と歌う。何度も修羅場をくぐり抜けたバンドの「枯れた」魅力が出てくるのがこの頃だ。

 薬物中毒を克服し、ギターのジョン・フルシアンテが復帰した7作目「カリフォルニケイション」が一つの到達点。「鳥たちと共にする/この孤独な景色を」と歌う「スカー・ティッシュ」など寄り添うような曲の土台には、かつてなかった強さが感じられる。

 ジャケットの裏は、バックステージで円陣を組むメンバーの写真。絆を確かめるように肩を寄せ合う姿にグッとくる。 (銭)