細田博之前衆院議長が10日死去したのを受け、与野党内で「長年の功績に敬意を表する」(茂木敏充自民党幹事長)など悼む声が相次いだ。立憲民主党など野党の幹部からは、旧統一教会との関係やセクハラ疑惑を巡り、国民の疑問に十分答えないままだったとの趣旨の指摘も出た。

 細田氏は自民党最大派閥の清和政策研究会の会長を務めた。同会座長の塩谷立・元文部科学相は「内心頼りにしていた。後ろ盾を失った思いだ」としのんだ。松野博一官房長官は、官房長官の先輩だとして「政治家としてさまざまな指導をいただいた」と惜しんだ。

 自民が2009年衆院選で惨敗し下野する前、国対委員長として幹事長の細田氏を支えた大島理森元衆院議長は「共につらい時期を頑張った」と回想した。

 公明党の山口那津男代表は「自公連立政権を強固にする過程で大きな役割を果たしていただいた」と語った。日本維新の会の馬場伸幸代表は、統合型リゾート施設(IR)に尽力したと振り返り「党派を超えて感謝と敬意を表する」との談話を発表した。

 旧統一教会問題との接点などが十分明らかになっていないとの意見も続出した。

 立民の安住淳国対委員長は「何度も当選し、有権者に信頼されていた部分はあったが、立法府の最高責任者として説明責任を果たしてほしかった」と言及。共産党の小池晃書記局長は「真相を語らず亡くなったのは残念だ」とした。国民民主党の玉木雄一郎代表も「すっきりしない形で終わったというのが正直な印象だ」と述べた。

▼首相「心から哀悼の誠」

 岸田文雄首相は10日、細田博之前衆院議長の死去に関し「心から哀悼の誠をささげたい。官房長官や自民党幹事長、衆院議長として仕事をされてきた。今日までのご努力に敬意を表したい」と官邸で記者団に語った。

 自身が党商工部会長を務めていた際に通商関係に詳しかった細田氏と仕事を共にしたことを振り返り「これまでさまざまな縁で親しくしてもらい、先輩としてアドバイスしてもらった。感謝申し上げたい」と語った。