大平山の山頂から大自然の眺望と朝食を楽しむ参加者=大田市三瓶町
大平山の山頂から大自然の眺望と朝食を楽しむ参加者=大田市三瓶町

 国立公園・三瓶山を構成する大平山(標高854メートル)の山頂で、食事を楽しむイベント「天空の朝ごはん」の開催が30日、100回目を迎えた。開始から7年余りで三瓶を代表する体験型の観光商品に成長し、これまでの来場者は延べ3千人を超す。気温が氷点下と冷え込んだこの日も、島根県内外の43人が山頂からの眺めと食を満喫した。

 天空の朝ごはんは、石見銀山遺跡のボランティアガイドや地元飲食店が同遺跡の山城跡で開いたのを参考に、国民宿舎・さんべ荘(大田市三瓶町)が始めた。東の原の観光リフトで山頂へ行き、日の出や山並みを楽しみながら朝食を味わう趣向で人気を集める。

 新型コロナウイルス禍の行動制限が大幅に緩和された今年は、月3回ペースで企画。最近は来場者の半数が県外からという。

 30日午前6時、防寒着に身を包んだ参加者は、まだ月や星が輝く空の下、リフトで出発。山頂の展望台に着くと、用意されたホットコーヒーやスープ、パンを味わい、次第に明けゆく空と眼下に現れる山々の景色に目を丸くした。

 天空の朝ごはんを島根観光のメインに、愛知県安城市から訪れた戎居史子さん(75)は、天空の朝ごはんをニュースで知って申し込み「景色も朝食もすごく感激した」と話した。さんべ荘の長尾純企画営業部長(43)は「多くの人の協力を得て、お客さんとも一緒に楽しみながら企画できているのが魅力の一つ」と強調し、節目の開催を振り返った。今季はこれで終了し2024年春に再開する。 (勝部浩文)