自民党の政治資金パーティー裏金問題を受け、山陰中央新報社は、党最大派閥・清和政策研究会(安倍派)の会長だった故・細田博之氏を含む島根、鳥取両県関連の与野党国会議員11人の事務所に対し、2018~22年分の派閥と個人の政治資金パーティーに関し、政治資金収支報告書への記載状況などのアンケートを実施した。 (原田准吏、白築昂)
組織的な裏金づくり疑惑が浮上する安倍派関係の細田氏側と高階恵美子氏(衆院比例中国)は、派閥パーティー券の販売ノルマを超えた売り上げからのキックバック(還流)分を報告書に記載したかどうかを含めて全項目に回答しなかった。無回答の理由も答えなかった。
派閥パーティーについて、自民の石破グループの石破茂氏(衆院鳥取1区)と赤沢亮正氏(衆院鳥取2区)は、21年の水月会(石破派)解消前に、パーティー券販売でノルマ以上に集めた超過分の還流があったとした。還流分は石破氏が21年の10万4500円、赤沢氏が19年と21年の2回で合計54万3千円だった。2人とも政治資金収支報告書に「政治活動費」として記載したという。
同じく石破グループの舞立昇治氏(参院鳥取・島根合区選挙区)と藤井一博氏(参院比例)は個別項目に答えず「法令にのっとって適正に処理している」と説明した。
自民の平成研究会(茂木派)に所属する高見康裕氏(衆院島根2区)と青木一彦氏(参院鳥取・島根合区選挙区)、三浦靖氏(参院比例)はいずれも「政治資金規正法にのっとり適切に処理し、収支報告書に記載している」と説明した。
立憲民主党の湯原俊二氏(衆院中国比例)と石橋通宏(参院比例)はパーティー自体がないと答えた。
アンケートは、個人パーティーの収支報告書への記載状況も質問した。開催したと答えたのは石破氏と赤沢氏の2人で、茂木派の3人と立民の2人は開催していないと答えた。
過去5年間で石破氏は13回開催し、計1億4742万4千円、赤沢氏は8回の計8813万円の収入がある一方、地方議員などがノルマ以上に集めた超過分を支出として還流する仕組みはないとした。
アンケート方法 2023年1月時点で現職だった山陰両県の各党県連所属の国会議員計11人(自民9人、立憲民主2人)を対象に13~15日に実施。各議員事務所から書面と聞き取りで回答を得た。
対象期間は18~22年で、所属派閥と個人の政治資金パーティーそれぞれについて、各年の開催実績とパーティー券販売の有無、ある場合は販売金額と枚数▽ノルマの設定の有無▽ノルマ超過分の還流(キックバック)の仕組みの有無、ある場合は金額▽キックバック分の政治資金収支報告書への記載と使い道-の10問を尋ねた。