■短歌■ 宮里 勝子選

決断も鈍くなりたりせり上がるエスカレーターの段踏み迷ふ    江 津 山根 喜代

  【評】二句切れにして鮮やか。動く階段を前にして戸惑うのは体幹が弱り、足元から衰えがち。健康で長寿を保ちたいと思いつつも、このような場面に出会うと自覚せざるを得ない感慨がつたわる。作者の健康を願います。

タマネギの針のような芽出そろいて上掛けのこも今朝とりのぞく  飯 南 石飛 静子

  【評】玉葱(たまねぎ)の種まきを経験していなくてもよく分かる一首。針の太さから植え付けできるようになるまでは目が離せない。覆いを外した...