伊藤比呂美さん(68)は漂泊の詩人である。日本と米国を往復して両親を遠距離介護した末に見送り、熊本に犬や猫と住む今も、頻繁に旅をしながら言葉を紡ぐ。苦しい時には移動するし、運動する。そうやって乗り越えてきた。そうやって生き延びてきた。

 母を、父を、夫を、みとりました。思春期に困難を抱えた娘3人を、死に物狂いで育てました。東京から熊本に、米国にと住まいを移し、数年前に片道切符で一人、熊本に戻ってきた。人生は漂泊、道行きです。常に言葉とともにありました。

▽ボロボロ...