電子部品製造の出雲村田製作所(出雲市斐川町上直江)が生産体制を強化するため、安来市切川町に工場を新設することが20日、関係者への取材で分かった。山陰道近くのエリアに最大約20ヘクタールの用地を取得して建設を進め、2030年ごろの完成を目指す。
(桝井映志、多賀芳文)
操業当初は従業員200~300人の体制でスタートし、需要をにらみながら設備を整え、将来的に千人規模の体制で電子部品を生産していく。
同社は村田製作所(京都府長岡京市)のグループ企業で、出雲市の本社のほか、大田市内2カ所に工場を構え、スマートフォンやパソコン、自動車に搭載される積層セラミックコンデンサーなどを生産している。スマホをはじめとした通信機器の普及や自動車の電装化などによる需要拡大を踏まえ、新工場の適地を探していた。
建設予定地は山陰道の南側に位置し、周辺には水田地帯が広がる。安来市は23年9月、建設予定地を含む約100ヘクタールのエリアについて、事業所の立地を促すように都市計画マスタープランを修正。国土交通省が付近の山陰道に「安来スマートインターチェンジ(IC、仮称)」を設置する方向で調査を進めているほか、島根県が国道9号へのアクセスを向上する県道切川バイパスを整備している。
こうした交通アクセスの充実で物流などの利便性向上が期待できるのに加え、本社とも連携が取りやすい立地から予定地を絞り込んだとみられる。
同社管理部の足立仁志部長は山陰中央新報社の取材に対し「関係者と協議を始めたのは事実だが、詳細は答えられない」と話した。