▼短歌 安部 歌子選

徘徊の母の手にあり曼珠沙華にこりと笑う母を〓(口ヘンに七)らず       奥出雲 小川寒四郎

 【評】心配していた母は曼珠沙華を摘んで帰ってきた。にこりと笑う母を作者は〓(口ヘンに七)れなかった。「〓(口ヘンに七)らず」は「〓(口ヘンに七)れず」にしたい。作者の母を思う心情がより強く伝わってくる。

座布団の積みたる中にわが孫の隠した菓子ありそっとしておく   邑 南 森脇 幹夫

 【評】座布団に隠してあるお菓子を作者は見つけてしまった。絶対見つからないと思...