松江市役所前で市民(右)に署名への協力を呼び掛ける市民団体のメンバー=8月、松江市末次町
松江市役所前で市民(右)に署名への協力を呼び掛ける市民団体のメンバー=8月、松江市末次町

 「最後まで市民への共感が伝わらなかった」
 松江市議会で9日午後、市役所本庁舎(松江市末次町)の建て替え事業を巡る住民投票条例案が否決されると、市民団体「松江市民のための新庁舎建設を求める会」の片岡佳美代表(島根大教授)が肩を落とした。市民の意見に耳を傾け、事業計画を再検討するよう求めてきたが、思いは届かなかった。

 団体はコロナ禍で多くの市民が影響を受ける傍らで、巨額の事業が進むことに違和感を覚えた市内の大学教授や子育て世代の女性らで5月末に結成した。資金的な後ろ盾はなく、手探り状態で7月下旬から着工延期の是非を問う条例制定に向けた署名活動を始めた。

 賛同者は想像した以上に多かった。戸別訪問などで署名を集める受任者は開始時に約300人だったのが最終的には600人以上に膨らんだ。団体のホームページにも応援の書き込みが続き、直接請求に必要な署名数(約3400人)の4倍超となる1万4千人分が集まった。「市民の関心は確実に高まっている」(片岡代表)との手応えを感じていただけに、今回の否決には納得できなかった。

 求めた住民投票の条例案は、建て替え事業を中断して計画を練り直すか、12月着工を予定する市の計画通りに進めるかを二者択一で問うことを想定。新庁舎の建設に反対する意図はなく、住民投票と市民を交えた議論の結果、建設場所や事業費といった内容に変更がなかったとしても問題視しないとする考えを強調してきた。