仁摩サンドミュージアムの一室には、芦原妃名子さんのサイン入りのコミックや関連グッズが並ぶ=大田市仁摩町天河内
仁摩サンドミュージアムの一室には、芦原妃名子さんのサイン入りのコミックや関連グッズが並ぶ=大田市仁摩町天河内

 少女コミック「砂時計」で知られる漫画家・芦原妃名子さんが亡くなったことを受け、作品の舞台になった仁摩サンドミュージアム(大田市仁摩町天河内)が30日、ホームページで「突然のことで言葉もありませんが、ただただ悲しみでいっぱいです」と追悼した。

 芦原さんの代表作だった砂時計は、島根を舞台に初恋の軌跡を描いた作品で、2003年から06年に漫画雑誌に掲載。07、08年にはドラマと映画で実写化され、コミックとともに大ヒットした。芦原さんは作品発表後も03、05年のサイン会や08年の映画撮影の際にミュージアムを訪れた。

 ミュージアムは、1年砂時計を目玉に、旧仁摩町が1991年に開設し、91年度は30万人が訪れた。来場者は年2万7千人に落ち込んだこともあったが、砂時計のヒットで08年度には12万7千人に急回復。現在もコロナ禍前の水準で4万人の来館がある。

 施設の一室には芦原さんの作品やサイン色紙のほか、撮影関連の写真やグッズが並ぶ。30日は芦原さんの訃報を知り、開館と同時に泣きながら来館したファンの姿があったという。

 来館者が自由に記入できる「観想ノート」には、作品の発表から20年がたった今も、漫画や映画を見て訪れたとの書き込みが続く。小川英二事務局長(66)は「私たちにとっては救世主のような存在で言葉がない。ご冥福をお祈りしたい」と悼んだ。(勝部浩文)