■短歌・安部 歌子選

隠岐の海労い相撲は塩の雨計り知れない年月散らし       隠岐の島 中前さつき

 【評】隠岐の伝統相撲が再現された隠岐の海の引退相撲。塩の雨が痛いほどであっ という。引退までには計り知れない苦労があったであろう。「塩の雨」から「年月散 し」を連想させる手腕は見事。

土俵より夢と希望を十八年今隠岐の海静かに去れり       隠岐の島 門脇  裕

 【評】隠岐の海を労(ねぎら)うもう一首。十八年間気を揉(も)むこともあったが、四つ相撲のみに徹する姿は島根県民の...