ラグビー・トップリーグの三菱重工相模原ダイナボアーズで主将を務める土佐誠さん(34)が、母校の浜田市立旭中学校で教育実習をしている。現役引退後、英語教師をしながら指導者として新たな道を歩む考えだ。後輩たちに、病気や不祥事によるチームの出場停止などつらい体験も語り、乗り越える大切さを伝えている。 (陶山貴史)
トップリーグで活躍しながら、セカンドキャリアの準備をする選手は、医師を目指しながら、日本代表にも選ばれた福岡堅樹選手が知られる。強豪チームを渡り歩いてきた土佐さんも引退後の仕事として中学や高校でラグビーを指導する場合、教員免許が必要と考えたため、現役を続けながら免許取得を目指している。
旭中から尾道高校(広島県尾道市)に進学し、ラグビー部の1期生として競技を始めた。関東学院大では2年時に全国大学選手権大会で優勝。英国への留学経験もあるなど経歴は華やかだ。
挫折も経験した。大学では部員の不祥事で一時対外試合禁止に。部員間に不和が生じる中で主将として和を取り戻すのに奮闘。原因不明のてんかんの症状で2度の脳手術もした。
教育実習では、自身の課題をクリアしながら、価値観が違う外国人選手が多い現チームで主将を担っている経験を踏まえ、全校生徒に、「自分と他人の関係をよくすることが良いパフォーマンスにつながる」とコミュニケーションの大切さを伝えた。
実習は25日まで。古里での約3週間の授業や講演を振り返り「生徒や教職員の方が温かくて楽しくやることができた。自分の経験を心にとどめておいてもらえればうれしい」と話した。