■短歌・安部 歌子選
車両には妖怪たちの描かれて電車華やぐ夜の無人駅 出 雲 行長 好友
【評】妖怪の描かれた電車が到着すると続々と妖怪たちが降りてくるようで、夜の無人駅はいっきに華やいでくる。「妖怪」と「夜の無人駅」という設定が良く、読者も妖怪たちの世界に引き込まれていくようだ。
家はいいと最後の帰宅の五日後に夫は静かに息を引き取る 江 津 岡本美津子
【評】医師の許可を得て家で過ごした最後の五日間。「家はいい」の言葉は心に残りいつまでも作者を支えてくれることだろう。感情語を使わず...