大学時代に友人の勧めで「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」を聴き、こんなジャズもあるんだ、と驚いた。サックス奏者オーネット・コールマンが1977年に放ったアルバム。収録曲「テーマ・フロム・ア・シンフォニー」は、プァーワワーワ、プァーワワ…というフレーズが狂ったように繰り返される。
従来のジャズの演奏法に縛られないフリージャズの先駆者とされる。素人耳には、適当に吹いているようにしか聴こえなかったが、妙な楽しさを感じた。
「スリー・ウィッシーズ」(1988年のアルバム「バージン・ビューティー」に収録)は、パーパラパーパラパパパパ…と中東風メロディーを繰り返す。プァー…と間抜けな合いの手を入れるトランペットも相まって、癖になる。
気ままフレーズのループが持ち味か。それどころか「スクール・ワーク」(82年のアルバム「ブロークン・シャドウズ」に収録)は「テーマ・フロム・ア・シンフォニー」のフレーズがそのまんま登場。使い回しもかい、と頬が緩んだ。
演奏技術が高いとは思えないのに、ギター奏者パット・メセニーら多くの個性派ミュージシャンに慕われ、名カバーも生んだ。伸び伸びした演奏が周囲の創作意欲をかき立てるのか。(志)















