うっそうとしたジャングルだった。太平洋戦争中に東部ニューギニア(現在のパプアニューギニア)で父を亡くした森本浩吉(82)は、戦没者の遺骨を探していた。巨木の下から見つかった全身の骨。折り重なっていたのか、次々と。

 2003年、初めて遺骨収集に参加した。冷たい土から丁寧に拾い上げる。「父だろうか。父とすれ違った方だろうか」。そんなことを考えた。

 戦死公報

 森本は1941年、今の韓国・ソウルで生まれた。1歳1カ月の時、父の利雄が南方へ出征した。「浩吉は...