和紙の紙すきに不可欠な「トロロアオイ」の花酵母を使ったサワービールが完成した。地ビール製造の石見麦酒(江津市桜江町長谷)が、和紙工房「石州勝地半紙」(同)と連携して商品化した。和紙の魅力を飲んで伝える地元産品として売り込む。
トロロアオイは、オクラと同じアオイ科の植物。根はトロロのように粘りを多く含み、すりつぶした粘液は和紙をすく時に使われ、紙の厚さを調整するのに欠かせない。
石見麦酒と石州勝地半紙は、それぞれ醸造所と工房を温泉リゾート施設「風の国」に構えており、トロロアオイは石州勝地半紙が自家栽培している。
花から採取した「ラカンセア酵母」は酸味が強く、石見麦酒は一般的なビールと比べてホップの量を増やして苦味を強調。すっきりとした味わいに仕上げた。
アルコール6%で、330ミリリットル入り660円。1日に発売し、石見麦酒の醸造所と通販サイトなどで扱い、1年で2千本の販売を目指す。
通販サイトにはトロロアオイの紹介も掲載する。石州勝地半紙の佐々木誠代表(63)は「知名度の高くないトロロアオイの存在を広く知ってもらう商品になってほしい」と期待し、石見麦酒の山口厳雄工場長(44)は「近隣で採取できる酵母を使ったサワービール開発を進めたい」と話した。 (村上栄太郎)