県内の児童相談所と19市町村に寄せられた2020年度の児童虐待認定件数が、過去2番目の533件に上り、2年連続で500件を超えた。19年度に文科省が虐待への対応をまとめたマニュアルを策定し、教育現場での意識が高まったことや、全国で子どもの死亡事案が相次いでいることから、虐待の兆候に敏感な傾向が続いていると県は分析している。
20年度の認定件数は過去最多だった19年度の569件から36件減った。内訳は児相364件(前年度比31件減)、市町村292件(14件減)で、重複分は123件。虐待種別では、殴る蹴るといった身体的虐待が児相80件(52件減)、市町村85件(36件減)。暴言や家族に対する面前での暴力といった心理的虐待が児相191件(5件増)、市町村154件(45件増)だった。
主な虐待者は実母、実父の順に多く、実の両親が9割。被虐待者は、小学生と3~6歳児が多く、0~3歳未満、中学生が続いた。
虐待が疑われるとして児相に寄せられた通告数は前年度比114件増の768件で、学校からの通知をきっかけに虐待と認定された件数が2割。県は学校現場を中心に、子どもたちの変化に気を配る態勢が構築されつつあると見ている。
県青少年家庭課の昌子裕課長は「潜在的な事案が表面化しやすくなっている。虐待そのものを減らすことと併せて、早期の把握や必要な支援の充実にも力を入れていく」と述べた。
警察庁によると昨年1年間に警察が全国で検挙した児童虐待は2133件(前年比8・2%増)で過去最多。死亡した子どもは無理心中を含め、前年より7人多い61人だった。
(佐々木一全)













