松江市東出雲町の中海干拓地で、カボチャの品種「ブラックのジョー」の栽培が広がっている。JAしまねが推奨し、3年目の今期は8・3ヘクタールで販売額2千万円を見込む。市は新たに出荷奨励金を支給して普及を後押しし、キャベツに並ぶ特産に育てる。
国内最大手の種苗メーカー「サカタのタネ」が開発した品種で、濃厚な甘みとホクホクの食感が特徴。
中海干拓地で盛んな「くにびきキャベツ」の価格が低迷する中、JAしまねが春作と秋作の端境期に栽培できる補完作物として着目し、2019年度に3・2ヘクタール(農家38戸)で栽培を始めた。20年度は4・6ヘクタール(46戸)で、販売額は1200万円だった。
8・3ヘクタール(50戸)に拡大した21年産は6月下旬に出荷がスタートし、県内スーパーの産直売り場に4分の1カットで250円などで並び始めた。出荷先は関西や山陽方面にも広がっており、8月中旬まで計100トンを計画している。
国産カボチャのニーズの高さや安定した価格、水稲経営とも両立できる点を踏まえ、市は21年度、出荷奨励金制度を創設した。5アール以上で作付けする農家のJA出荷を対象に、1ケース(10キロ)当たり500円を支給する。JAとともに中山間地域を含めた市全域に栽培を広げていく考え。
中海干拓地の3・5ヘクタールで栽培している農業法人、エムツーエヌグループ(松江市東出雲町錦新町)の垣田貴史最高経営責任者(CEO)(41)は「甘くておいしいと評判がいい。松江のカボチャとして全国に広めたい」と話した。
(木幡晋介)