旧海軍大社基地滑走路に使われていたコンクリート片を説明する黒田祐介学芸員=出雲市大津町、出雲弥生の森博物館
旧海軍大社基地滑走路に使われていたコンクリート片を説明する黒田祐介学芸員=出雲市大津町、出雲弥生の森博物館

 【出雲】太平洋戦争末期に建設された出雲市斐川町出西の旧海軍大社基地滑走路跡に関する展示が、出雲弥生の森博物館(出雲市大津町)で開かれている。滑走路に使われたコンクリートは場所によって厚みが異なることなどが実物やパネルで紹介され、戦中のリアルな作業状況が伝わる。無料、10月14日まで。

 大社基地は本土決戦に備え、終戦前の1945年3~6月に全長1500メートル、幅60メートルのコンクリートで舗装された滑走路が建設された。

 展示では出雲市が2022年、滑走路約千メートル分の断面を調査した結果を紹介。コンクリートの厚みは平均約10センチだが、均一ではなく、5センチから17センチとかなり幅があった。その下の盛り土の厚みは平均約10センチだが、盛り土がきちんと平らになっていなかったため、コンクリートの厚みにばらつきが出たと考えられる。

 また、舗装の型枠を示す切れ目が5メートル×10メートルで、間隔にほとんど誤差がなく、測量や型枠設置は高い精度で行われたことも分かった。

 黒田祐介学芸員は「滑走路の下の痕跡を見ると作業の様子がよく分かる。身近にある戦争遺跡を見て、平和について考えてほしい」と話した。

 午前9時~午後5時。火曜休館。(佐藤一司)