道路上に流れ出た土砂を撤去する自衛隊員=8日午前9時、出雲市猪目町(陸上自衛隊出雲駐屯地提供)
道路上に流れ出た土砂を撤去する自衛隊員=8日午前9時、出雲市猪目町(陸上自衛隊出雲駐屯地提供)
土砂崩れの現場(写真奥)から救出した人を搬送する救急車=8日午後6時43分、倉吉市大原
土砂崩れの現場(写真奥)から救出した人を搬送する救急車=8日午後6時43分、倉吉市大原
道路上に流れ出た土砂を撤去する自衛隊員=8日午前9時、出雲市猪目町(陸上自衛隊出雲駐屯地提供)
土砂崩れの現場(写真奥)から救出した人を搬送する救急車=8日午後6時43分、倉吉市大原

 記録的な豪雨から一夜明けた山陰両県では、8日も雨が続いた。地盤の緩みで被害は一部で拡大。倉吉市内の工場では、従業員3人が隣接する山の土砂にのみ込まれるなど新たな被害も発生した。強い雨は10日まで続くと予想され、気が休まらない日々が続く。

 (取材班)

 山陰両県では降り始めから8日夕まで、多い地域で計440ミリの記録的降雨となった。倉吉市大原の「中山精工鳥取工場」の脇では午後3時ごろ、大規模な土砂崩れが発生。土砂は工場内に流れ込み、男性3人が巻き込まれた。

 2人は自力で脱出。下半身が土砂に埋まった残る1人も、駆け付けた救助隊に救われた。吉村節工場長(57)は「まさか、崩れてくるとは思いもしなかった。助かって良かった」と安堵(あんど)した。

 崩れた斜面は、2016年10月の鳥取中部地震でも崩落したという。近くに住む岩〓(崎の大が立の下の横棒なし)幸雄さん(74)は「対策工事をしたばかりなのに」と表情をこわばらせた。

 7日に孤立状態となっていた日本海沿岸の猪目集落(出雲市猪目町)は、島根県知事から要請を受けた陸上自衛隊出雲駐屯地の隊員が入り、道をふさぐ流木や土砂を取り除いた。猪目自治会の野津敏会長(52)は「50年以上住んでいるが、こんな雨は初めてだった」と驚いた。

 のり面崩壊で全面通行止めとなった雲南市と松江市をつなぐ幹線道路「県道松江木次線」(松江市乃白町)でも、急ピッチで復旧作業が進められたものの、通行止めの解除のめどは立っていない。雨が降り続けば、さらに復旧が遠のく可能性もあるだけに、道路を使っているという自営業三原治さん(61)=雲南市大東町須賀=は「迂回(うかい)して松江に行くには20分余計に時間がかかる」と表情を曇らせた。

 土砂は出雲市と松江市を結ぶ交通のライフラインである一畑電車も襲い、8日は、雨の中で作業員が必死に線路から流木や土砂をかき出した。全線開通は早くて10日と見込んでおり、同社の野津昌巳営業課長は「できる限り早く完全復旧したい」と話した。

 

 自衛隊の災害派遣 水害や地震などの災害で、人命や財産の保護が必要と認められる場合、知事らの要請で防衛相らが派遣し、捜索救助活動や医療、防疫、給水、物資輸送などの任務に当たる。緊急性が高い時は要請を待たずに出動する。 

 

 

 

 避難途中 車にはねられ死亡鳥取の国道で男性

 

 7日午後7時40分ごろ、鳥取市吉成1丁目の国道53号で、記録的な大雨のため歩いて避難中の同市吉成、無職荒西三雄さん(85)が市職員由木留美子さん(49)=鳥取市河原町和奈見=の車にはねられ、頭を強く打ち死亡した。死因は出血性ショック。当時、荒西さんが住む地域は警戒レベル3の高齢者等避難が発令されていた。

 鳥取署によると、現場は信号機と横断歩道がある。荒西さんは娘と道路を横断して避難所に向かっていた。由木さんは帰宅途中で直進していた。

 市によると事故直後、由木さんは上司に電話で報告。上司には進行方向の信号は青、歩行者の信号は赤で、荒西さんらは横断歩道を渡っていたと説明したという。同署は信号の色などを調べている。

 由木さんは健康・子育て推進課健診推進室主幹。7日は大雨災害対応のため、職場待機していた。

 会見した浅井俊彦総務部長は「職員の安全運転の周知や指導を徹底していたが、重大な事故が発生し、市民に心配を掛ける事態になったことをおわび申し上げる」と謝罪した。

     (岸本久瑠人)