1799年7月1日午前8時すぎ、品川沖に停泊していた幕府御用船神風丸が帆を揚げた。右に本牧(ほんもく)、神奈川、左に上総の山々を眺めながらゆっくり進み、やがて走水(はしりみず)沖に達した。

 「走水」の名が示す...