土砂崩れが起きた現場=倉吉市大原
土砂崩れが起きた現場=倉吉市大原
土砂崩れが起きた現場=倉吉市大原

 活発な梅雨前線の影響による7日未明からの激しい雨は8日も続き、山陰両県の各地で被害が相次いだ。倉吉市内で工場に土砂が流れ込み3人がけが。出雲市内では猪目町で土砂崩れなどによって道路がふさがり陸上自衛隊が出動した。午後5時時点で松江、出雲、鳥取各市などで警戒レベルが5段階で2番目に高いレベル4の「避難指示」が発令中で、対象人数は45万人超となっている。

 4日午後の降り始めから8日午後4時までの降水量は松江298・5ミリ、斐川(出雲市)292・5ミリ、鹿野(鳥取市)438・5ミリ、倉吉391・0ミリを観測。各地とも7月全体の降水量の平年値を超える記録的な大雨となった。

 午後3時ごろ、倉吉市大原の中山精工鳥取工場の裏山で土砂崩れが発生。20~40代の男性従業員3人が巻き込まれ、2人が自力で脱出し、1人は消防が救助した。いずれも意識はあり、市内の病院に搬送された。

 出雲市猪目町内では陸上自衛隊員30人が県道や市道で土砂や流木を撤去。松江市は土砂崩れで乃白町内の県道・松江木次線で全面通行止めが続いている。

 法改正で避難勧告と一本化され、対象地域の全住民に緊急避難を呼び掛ける「避難指示」は午後3時時点の島根が、松江、出雲、雲南3市と吉賀町の32万人超が対象となり、同時刻で避難所に身を寄せたのは計166人。鳥取は午後5時時点、鳥取、倉吉など10市町の13万人超が対象で計157人が避難している。

 住宅被害は出雲市が一部破損5棟、床上浸水13棟、床下浸水40棟で、松江市は床上浸水6棟、床下浸水16棟。鳥取は県中東部を中心とした9市町で床上浸水6棟、床下浸水51棟だった。

 両県は7日付で松江、出雲、鳥取3市に災害救助法を適用した。避難所の運営や住宅の応急修理などにかかる費用を、市に代わって国と県が負担する。

 JRは特急やくもなどが終日運休し、約3万1千人に影響。9日はやくもや山陰線の米子ー出雲市間などで終日運転取りやめ、山陰線の出雲市ー益田間は始発から運転する計画という。

 気象庁によると、9日に予想される山陰の1時間降水量は多いところで40ミリ。大雨で地盤が緩んでいる場所があるため、9日昼前まで土砂災害に厳重な警戒が必要としている。 (曽田元気)