がん患者・家族交流会のチラシ
がん患者・家族交流会のチラシ

 がんの治療経験者が自身の経験を生かし、患者や家族の思いに耳を傾ける島根県の「がんピアサポーター」が、新型コロナウイルス禍を経て本格的に支援活動を再開する。24日に島根大医学部付属病院(出雲市塩冶町)でがん患者や家族との交流会を開き、養成研修を修了したサポーターが参加者と語り合う。

 がんピアサポーターは、治療の悩みや生活不安を抱える患者や家族に対し、同じ立場で話を聞き、自身の体験を共有しながらともに考える。県によると、2012年度に養成が始まり、県内のがん診療連携拠点病院で開かれる相談会などで活動してきた。

がん患者・家族交流会のチラシ


 コロナ禍で活動が停滞したが、今年2~5月に約8年ぶりに養成研修を開催。がん治療経験者がサポーターの役割やコミュニケーション技術、最新のがん治療などを学び、17人がサポーター登録された。

 そのうちの一人、浜崎順子さん(59)=松江市上乃木3丁目=は、自身もかつてサポーターに支えられた経験を持つ。14年に乳がんを患い、手術や抗がん剤治療などに向き合った。不安な気持ちを抱えて相談会に参加し思いを吐き出すと「大丈夫だよ」と声をかけてもらい、涙が流れた。「気持ちを分かってもらえた喜びは今も忘れられない」と振り返る。

 交流会は24日午後1時半開始。がん看護専門看護師を講師に「がんと診断された時の気持ちの変化」と題したミニ学習会もある。参加無料で、申し込み不要。ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」による参加も可能で、この場合は申し込みが必要。

 交流会は今後、月1回開く予定で当面の日程とテーマは、8月23日「リンパ浮腫(ふしゅ)」▽9月19日「化学療法の副作用とケア」▽10月31日「がん治療中の食事」。浜崎さんは「答えが見つかるわけではないけれど、話すことで気持ちが軽くなると思う。良かったら一度のぞいてほしい」と呼びかける。

 交流会の問い合わせは島根大病院がん患者・家族サポートセンター、電話0853(20)2545、平日午前8時半~午後5時。(吉田真人)