松江市出身の落語家・立川(たてかわ)幸之進(こうのしん)は、2004年の入門当初に体験した二つの出来事を心に刻む。師匠の立川談幸(だんこう)の逆鱗(げきりん)に触れたことと、ほろ苦デビューとなった初高座だ。25、26歳のころだった。

 談幸の雷は既に初高座を終え、落語会の裏方や師匠の身の回りの世話など前座の仕事が忙しくなり始めた時期に落ちた。

 入門後、談幸は月に1...