工場やガソリンスタンドで化学薬品などを取り扱うのに必要な国家資格の危険物取扱者試験で、安来市立十神小5年の竹内一華さん(11)が乙種第4類(乙4)に合格した。毎日1時間を確保し、問題集3冊を10周するほど勉強。三度目の正直で国家資格を手にした。消防試験研究センター(東京都)によると、小学生の合格は珍しいという。
きっかけは昨夏、岡山市内に住む祖父(56)の元に遊びに行き、一緒に書店に入ったことだった。製造所勤務で、乙4を取得するために参考書を買う姿を見て「一緒に受けたい」と思ったという。
母の愛美さん(35)、妹の一吹さん(8)とともに松江市内の会場で試験に挑戦。昨年10月、今年2月は不合格だったが、落ち込まずに勉強を続けた。6月に3度目の試験に臨み、7月5日に合格が決まった。
乙4の試験は、法令や基礎的な物理・化学の知識を問う問題などがある。小学校の勉強との両立は「そんなに大変ではなかった」と悠然と話すが、竹内さんはとにかく量をこなした。
家族で購入した3冊の問題集をそれぞれ10周ずつ解き、覚えにくい箇所は語呂合わせで覚えた。例えば、二硫化炭素▽ニトロベンゼン▽クレオソート油▽酢酸▽グリセリン-という問題に出やすい水に沈む物質の頭文字を取って「にんにくさぐり」のようにだ。
消防試験研究センターによると、2023年度の全国の合格率は32・0%(島根29・9%)、11歳以下の合格者は12人(島根ゼロ)。過去10年間の11歳以下の合格者は全国が73人、島根がゼロだった。
同センター島根県支部はこのほど、松江市内で表彰式を開催。吾郷朋之支部長が免状と表彰状を手渡すと、竹内さんは「うれしい」と照れ笑いを浮かべた。
もともと学習意欲が高く、小学3年で漢字検定5級(小学6年修了レベル)に合格している。母親と祖父は昨年10月の試験で乙4を取得済みで、妹の合格を待って、家族で一緒に乙種1類の試験に挑戦する予定だ。
(高見維吹)