短歌 寺井 淳選

旅をして着いたところで嫌われて何も言わない黄砂見ている    松 江 宮本朝陽香

  【評】嫌われ者の黄砂をやさしい目で見ている。もちろん黄砂の一粒一粒に罪はなく人間の都合で嫌われる。その理不尽は社会の色々なところにあるのを忘れたくない。

穴あきのジーパン着こなし出掛くる子祖母は見かねて小遣い渡す  雲 南 妹尾 福子

  【評】ダメージ加工を施されたジーンズはお洒落(しゃれ)の演出で、「着こなし」ていると分かっていても、祖母の気持ちとしては小遣いで新しいのをと言いたくなる。双方一両損のような...