八束公民館が制作した、大根島の空撮映像の一場面
八束公民館が制作した、大根島の空撮映像の一場面
大根島のチラシとパンフレットが置かれたパンフレットラック=東京都渋谷区、代官山蔦屋書店
大根島のチラシとパンフレットが置かれたパンフレットラック=東京都渋谷区、代官山蔦屋書店
八束公民館が制作した、大根島の空撮映像の一場面
大根島のチラシとパンフレットが置かれたパンフレットラック=東京都渋谷区、代官山蔦屋書店

 松江市八束町・大根島の空撮映像が東京都渋谷区の代官山蔦屋書店で紹介され、目を引いている。「だいこんじま」というインパクトある名前もさることながら、美しい景観が魅力だとして、世界遺産の屋久島や奄美大島(ともに鹿児島県)の映像とともに流れている。地元関係者の励みにもなっており、アフターコロナをにらんだ観光戦略を練っている。 (黒沢悠太)

 映像は約13分で、八束公民館(松江市八束町波入)が島根半島・宍道湖中海ジオパークのPRのため2020年に制作。動画サイト・ユーチューブで公開した。出雲国風土記に記される「島根半島西端の日御碕からタコをくわえたワシが飛んできて大根島に止まった」という伝説を基に「ワシ目線」を意識。ドローン(小型無人機)で空撮し、中海に浮かぶ大根島の全景や江島の「ベタ踏み坂」を紹介する。

 書店内にあるグループ会社の旅行代理店「代官山T―TRAVEL」が、あまり知られていない魅力的な観光スポットを探す中、大根島の映像に着目した。5月から、約40インチの大型ディスプレーで映像を流すほか「だいこんじま」と平仮名表記した自作のチラシも並べた。

 映像は、真っすぐに延びた道路(大海崎堤防)の先に大根島が見える風景が特に美しいと好評。知名度の高い観光地・出雲大社と近い点も相まって高齢の夫婦などが足を止め、大根島旅行の相談が始まるという。

 代官山T―TRAVELは反響を踏まえ今後、出雲地方の「神在月」をテーマにした観光チラシに大根島も盛り込む予定。スタッフの福井美佐子さん(53)は「観光地として魅力がある大根島を売り出したい」と話す。

 首都圏でのPRは地元にとっても追い風だ。松江観光協会八束町支部によると、新型コロナウイルス禍で旅行控えが続く中、インターネット上で観光地を見て楽しむ人が増えたとみられ、支部のホームページ閲覧数は5月が前年同月比87%増の8600件、6月が19%増の4300件。

 ボタンの時季の5月は例年、閲覧数が増えるが、ここまでの増加は異例。支部の綾野英明主任(52)は「東京で反響があることがうれしい。大根島の魅力がもっと広まればいい」と喜ぶ。地元としても、ボタンやソバの花の見頃など「花の島」として、PRを強める考えだ。