多くの人に見送られるシャーラ船=島根県西ノ島町浦郷、浦郷漁港
多くの人に見送られるシャーラ船=島根県西ノ島町浦郷、浦郷漁港

 島根県西ノ島町で16日、お盆に迎えた先祖の霊を送る「シャーラ(精霊)船送り」があった。浦郷地区では無数の盆旗でできた帆をなびかせながら、約300人が家族や親しい人の霊を見送った。

 シャーラ船は明治期に盆の供え物を各戸が海に直接流した風習を、船に載せて流したのが発祥とされる。

 浦郷地区では地元の中学生たちが住民有志と協力して5日から木材やわら、よしずを使って全長約5メートル、帆を入れた高さ約10メートルの船を作り上げた。

 帆には各戸から持ち寄られた紙の盆旗が飾り付けられ、朝早くから近所の人が訪れて施餓鬼札を納め、線香を上げた。

 僧侶と信徒が経を唱える中、中学生12人が引き船とシャーラ船に分かれて乗船し、午前8時に離岸。漁港内を3周する間、集まった人たちは静かに見守った。

 乗船した西ノ島中学校3年の中沢一希さん(14)は「昔のやり方で船を作り大変だったが、今日が楽しみだった」とし、浦郷区長の河内正成さん(71)は「暑い中、船を作ってくれた有志に感謝したい。来年も伝統の勇姿を見せたい」と話した。  (鎌田剛)