米が品薄状態になった商品棚=益田市常盤町、キヌヤ本店
米が品薄状態になった商品棚=益田市常盤町、キヌヤ本店

 全国的なコメ不足の影響により、島根県内の量販店で品薄状態が続いている。購入制限を設けて対応する店舗も出ている。8月末~9月始めに新米が入荷される見込みだが、品薄が解消される時期は見通せていないのが現状だ。猛暑と水不足に加え、29日以降の台風10号の上陸が収穫に影響を与える懸念があり、関係者は気をもんでいる。

 「お米いずれか一家族様1袋まで」

 益田市内などで24店舗を展開するキヌヤ(益田市常盤町)は1週間ほど前からコメの購入制限を設けた。商品の仕入れが間に合わない状況が続き、仕入れを工夫してきたものの、盆以降は確保できていない。

 利用客からは在庫確認の電話が毎日寄せられる状況で、本店1階の山田義明フロアー長は「いかんせん商品がないので、店頭で購入制限の呼びかけをしていくしかない」と話した。

 松江市内の大型スーパーは、6月ごろから仕入れが難しくなり、盆明け以降は入荷しても即時に完売し、在庫が全くない状況が続いている。購入制限は設けておらず、担当者は「少し制限をかけたところで結局は焼け石に水。運良く見つけた人に買ってもらう方が公平だ」と明かす。

 今回のコメ不足は、2023年の猛暑による不作や訪日外国人の急増による需要拡大が背景にある。

 JAしまねによると、県内では早ければ今週末ごろから24年産の新米が出回る見込み。ただ、キヌヤの山田フロアー長は「新米が出ても購入制限がいつごろ解消されるか分からない」とし、新米が出回ると値段が上がる傾向になるという。

 24年6月末時点の主食用米の民間在庫量(農林水産省発表)は前年比2割減の156万トンで統計を開始した1999年以降最少。来年はさらに下がる見通しで、JAしまね米穀課の澤津賀一課長は「今年と同じような品薄状態は来年も起こるかもしれない」と案じる。

 今年も昨年並みの猛暑日が続き、雨が少なく各地で渇水が続いている。農林水産省中四国農政局生産部(岡山市)の担当者は、刈り取りが迫る中で台風10号の上陸が予想され、生産量や品質に影響を与えかねず「どこまで打撃があるかだ」と吐露した。

 松江、出雲両市の学校給食課は年間の使用計画などを基に必要数を確保しており、給食に影響することはないとしている。

       (白築昂)