総務省は、事務方ナンバー2である谷脇康彦総務審議官らがNTT側から高額接待を受けていた問題で、国家公務員倫理規程に違反する疑いが強いとする中間報告を公表、谷脇氏を官房付に更迭した。

 菅義偉首相が幹部人事を通じ支配してきたとされる総務省で、なぜ「違法接待」が相次ぐのか。総務官僚による首相への「忖度(そんたく)」の一方で、首相の重用を背景に「接待されても問題はない」との「おごり」があったと見られても仕方あるまい。

 中間報告によると、谷脇氏は2018年9月以降、3件で約10万7千円、巻口英司国際戦略局長が20年6月の1件で約5万1千円の会食接待を受けていた。NTT側は澤田純社長や岩本敏男NTTデータ相談役らが供応。谷脇氏の自己負担は最初の1回のみで5千円、巻口氏は1万円だった。

 国家公務員倫理法に基づく倫理規程は、省庁の許認可を受ける事業者を「利害関係者」とし、接待を受けたり、金品を贈与されたりする行為を禁止している。NTTは事業計画や取締役選出について総務省の許認可が必要な利害関係者に当たる。5千円のみで「参加費として応分の負担をした」との谷脇氏の釈明は国民感覚からかけ離れている。

 谷脇氏は総合通信基盤局長在任時から、官房長官だった菅首相が打ち出した携帯電話料金引き下げを推進してきた。首相の信任が厚く、それが慢心を生んだのではないか。

 総務省では先月、菅首相の長男が勤める放送事業会社「東北新社」による違法接待が週刊文春の報道で発覚。谷脇氏を含む11人が減給などの処分を受けたばかり。

 谷脇氏は処分後、国会で東北新社以外と「倫理法令に違反する会食はない」と明言。総務省も内部調査で「他に違反はなかった」と説明していた。野党が「虚偽答弁」であり、ずさんな調査だと批判するのも当然だ。

 巻口氏の接待には、総務審議官だった山田真貴子前内閣広報官が同席していた。総務省は谷脇、巻口両氏への聞き取りからNTTと「利益誘導につながる話はなかった」とするが、山田氏の聴取も不可欠なはずだ。

 山田氏は東北新社の違法接待が判明後、「体調不良」を理由に内閣広報官を辞職。加藤勝信官房長官は「一般の方なので政府が事実確認する立場にない」と述べた。澤田NTT社長は国会招致されることになったが、放送行政をゆがめる不正の有無を含め全容解明するつもりがあるか疑問だ。

 東北新社に関しては、衛星放送基幹事業者の認定後、外国資本の出資比率が20%を上回り、放送法に違反していたことも分かった。同事業者の地位は子会社に引き継がれたが、その最終決裁をしたのは山田氏だった。

 菅首相への忖度から東北新社を特別扱いすることはなかったかを徹底調査し、NTT問題と併せ関係者への聴取全容を開示しなければ、行政不信は解消されない。

 そのために行政府の長として菅首相は指導力を発揮すべきだが、首相は総務省任せの姿勢を変えておらず、自身の政治責任については「国民の信頼を回復し、期待に応えていくのが責任だ」と繰り返すだけだ。これでは再発防止につながるかおぼつかない。政権中枢に近ければ近いほど「おごり」が巣くい、まん延していくことを憂慮する。