8日は国連が定めた、女性の地位向上を目指す「国際女性デー」だ。諸外国から何周も遅れた日本の男女格差の是正に今度こそギアを入れねばならない。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言を機に高まった「性差別を許さない」との国民の声に向き合わなければ、政治の怠慢と言わざるを得ない。

 森発言により、世界の男女格差の諸調査でいずれも下位に沈み込む日本に厳しい目が注がれた。列国議会同盟(IPU)によると、議会(衆院)で女性議員が占める割合は9・9%と、193カ国中166位。世界平均は25・5%で、日本より下にいわゆる先進国の名はない。

 政治だけではない。女性の就業率は約70%に達したが、働く女性の過半数がパートタイムや派遣の非正規雇用という、いびつさが解消されていない。意思決定に参画する経営陣や管理職に女性が増えないゆえんだ。新型コロナウイルス禍がこの構造を直撃し、女性の自殺増やひとり親世帯の困窮を生じさせている。

 議会など政策決定の場に女性を増やす手法が、一定比率を女性に割り当てる「クオータ制」だ。1970年代に北欧で採用され、法律などで定める形で各国に普及、男女半々の内閣や女性首相が次々と誕生した。米国では女性初の副大統領も生まれた。

 翻って、日本ではクオータ制導入どころか、女性の基本的な人権がいまだにないがしろにされている。自民党政治家による女性差別発言は何度も繰り返されてきた。2018年には、医学部入試で女性らを意図的に減点していた事実が明らかになった。性犯罪の無罪判決が相次いだことに抗議し、女性たちの「フラワーデモ」が始まったのは記憶に新しい。

 女性を過度に性的に描くコンテンツや、若い女性の性を商品化する行為に日本社会は鈍感すぎないだろうか。世界約90カ国の薬局で安価に買える緊急避妊薬の市販化方針を国が決めたのは、つい最近のことだ。女性の「性の自己決定権」は尊重されていない。

 男性中心の政治や司法が女性の権利に無頓着だったことが差別を助長してきた。今なお、選択的夫婦別姓導入への政府の消極的姿勢は若い世代や働く女性たちを落胆させている。

 米調査機関ピュー・リサーチ・センターによる34カ国の男女が対象の調査(19年)では「ジェンダー平等実現は望めない」との悲観的回答が日本は31%。ナイジェリアに次ぐワースト2だった。

 東京五輪・パラリンピックに向け、橋本聖子組織委会長、小池百合子東京都知事、丸川珠代五輪相の女性トップ3の態勢が決まった。組織委は女性理事を増員し、女性比率を40%超に引き上げた。経団連も女性初の副会長として、IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子会長を起用する方針を固めた。いずれも日本では異例の人事だが、世界の潮流としては当然の動きである。

 「女性は理数系科目が不得意」とか「補佐役にふさわしい」などという無意識の偏見を捨て、女の子が夢を持ち成長していける社会にしなければならない。女性たちが声を上げるだけでなく、男性たちもわが事として受け止めなければ、社会の仕組みは変わらない。改革は緒に就いたばかりだ。