緻密に紙を貼り重ねたシャドーボックス作品を楽しむ来館者=米子市中町、市美術館
緻密に紙を貼り重ねたシャドーボックス作品を楽しむ来館者=米子市中町、市美術館

 【米子】紙にプリントした絵画や写真の絵柄を切り取って貼り重ねた「シャドーボックス」の展示会が30日、米子市中町の市美術館で始まった。立体感と写実性を追求するニューヨークスタイルの技法で、緻密で奥行きのある「紙の彫刻」といわれる作品が来館者を魅了する。9月3日まで。入場無料。

 ニューヨークシャドー協会員の泉和枝さん(62)=松江市美保関町北浦=が、山陰中央新報文化センターを含め松江、出雲、米子、境港各市の6教室で講師を務める。展示会は2000年から4年に1度、生徒とともに開いている。

 32人が花や風景、人物などがモチーフの洋画、日本画、絵はがき、写真などを基に、計120点を奥行きのある額に入れて並べた。はがき大から縦1メートル横80センチほどの大作もある。

 平面から立体の世界を生む制作は、ペン形ナイフで切り取った絵柄をピンセットで重ねていく繊細な作業。表面の1枚には丸みや角度をつけるなど、いかに本物に近づけるかがポイントで、完成までに半年以上かかるものもあるという。

 来館者は額から飛び出してくるような立体の労作に顔を近づけ、じっくりと鑑賞していた。境港市外江町の主婦浜田裕子さん(73)は「手作業の細かさに感動した」と話した。(吉川真人)