英バンド・オアシスが今夏、再結成を発表し、世界中のファンが歓喜した。バンドの主要メンバーは、兄ノエルと弟リアムというギャラガー・ブラザーズ。1990年代に発表した3枚のアルバムは、史上最高のソングライターとボーカリストが血を分けた兄弟だったという奇跡の証明だ。
セカンドアルバム「モーニング・グローリー」(95年)は、才能と野心が手を組んだ最高傑作。日本では収録曲「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」の知名度が高いものの、これは曲が素晴らしすぎるため、作曲したノエルがボーカルを取ったもの。本来のオアシスは、リアムのウルトラ・ヘビー・ウエートの声があってこそ。「ワンダー・ウオール」「シャンペン・スーパーノヴァ」など切れ目なく名曲が続き、不遜でありながら繊細という矛盾が、何の疑いもなく鳴らされる。
「オアシスはフェラーリと同じ。ルックスも音も最高だが、飛ばしすぎて制御不能」とは、当時を振り返ったリアムの弁。シングルのB面曲を集めた編集版「ザ・マスタープラン」(98年)の異常なクオリティーが、この頃を象徴する。頂点を極めた先に「普遍」とも言うべき領域に到達したバンド。だからオアシスは古くならないし、今後も新しいファンを獲得し続けるだろう。 (銭)