東京五輪の開会式や競技会場で新型コロナウイル感染予防のマスクを着用していない選手や関係者がいた問題で、国際オリンピック委員会(IOC)と大会組織委員会は25日の記者会見で改めて注意喚起する方針を示した。一方で処分への言及は避け、感染予防策の規則集「プレーブック」の違反が相次ぐ中でも「お願いベース」の対応にとどまっている。

 規則集はマスクの常時着用や、人との接触を最小限に抑えるよう求め、違反時の罰則として大会参加資格の〓(刈のメが緑の旧字体のツクリ)奪や金銭的な制裁を明記している。厳格な運用が必要ではないかとの指摘に、IOCのアダムス広報部長は「ルールは緩和されていない。絶対に守ってもらいたい」、組織委の高谷正哲スポークスパーソンも「厳しくメッセージをお伝えしていかなければいけない」と回答した。

 24日に競技が本格化した各会場では、競泳や柔道でマスクを外して大声で叫ぶ選手や関係者が目立ち、ボクシングでは繰り返し注意される場面があった。柔道では多くの選手が対戦後に畳の上で抱き合ったり、握手したりする姿が見受けられた。一方で、バレーボールではマスク着用でプレーする選手もいた。

 表彰式を巡っても、IOCはメダリスト同士の間隔を広げ、表彰台中央での集合写真は撮影しないとの規定を発表したが、柔道で高藤直寿(パーク24)が金メダルを獲得した男子60キロ級の表彰式では選手が台の中央に集まった。各国・地域の選手団長による毎日の会議でルール徹底を呼び掛けており、高谷氏は順守が「大会の成功に不可欠」だと強調したが、警告の実効性は不透明だ。