「みのるを支配するものは義男ではなくなった。みのるを支配するものは初めてみのる自身の力によってきた」

 作家田村俊子の代表作「木乃伊(みいら)の口紅」=1913(大正2)年=に、こんな言葉が記されている。みのるは俊子、義男は夫の田村松魚だ。

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