短歌 安部歌子選

大木の酔芙蓉咲き朝夕に拾ひ集める酔ふた花花          出 雲 千代田荘伯

  【評】白からピンクに花の色を変える酔芙蓉。お酒に酔っていくようだという名前の 由来も興味深い。散っていくピンクの花びらを「酔ふた花花」と捉えた作者の感性に注 目した。

地デジでは老優なれどBSの刑事ドラマでよく走りおり      江 津 三浦 秀和

  【評】現在はすでに老優。作者とほぼ同年代の俳優であろう。BSのテレビドラマの 中で走り回っている姿は若き日の自分の姿でもある。彼の中に自分自身の老いを重ね...