新しい南海トラフ巨大地震の被害想定がまとめられた。最悪で30万人近くの人が亡くなる推計だ。この「国難」の想定をどう受け止めるのか、巨大地震にどう備えるべきなのか。2人の識者が論じた。
一喜一憂する意味はない 東京大教授・目黒公郎
政府作業部会が南海トラフ巨大地震の新たな被害想定を公表した。被害想定とは、将来予想される地震(シナリオ地震)が引き起こす被害の量や分布を推定することだ。しかし、これを実施したところで、将来の被害は変化しない。被害は災害対策を行って初めて減少する。推定結果に一喜一憂することに意味はない。
首都直下地震や南海トラフ巨大地震などでは、直後に発生する物理的な被害以上に長期的な社会的影響が大きく、これについての分析がより重要になる。関東...












